前回の記事で、生姜の効果について、いくつかお話しました。
今回はその中から「生姜の温め効果」についてお届けします。
冷えでお困りの方や、なんとなく調子がよくない方、生姜の温める効果が、つらい体を救ってくれます。
目次
生姜の特性
美容や健康など、体にいい食品というと、栄養成分が豊富に含まれるイメージかもしれません。
ですが、食品の体への影響は、たんぱく質や炭水化物、脂質などの栄養素だけではありません。
実際、生姜の栄養価は低いです。
栄養素のほかに、体に効果をもたらすものがあります
陽性食品・陰性食品
食品には、食べると体を温める陽性食品と、体を冷やす陰性食品があります
その日の体調や、自分の体質に合わせて食べると、体の冷えをコントロールできます。
陽性食品
水分が少なく固いものや、寒い地方が産地のものに多い
生姜・唐辛子・にんにく・大葉・ねぎ・根菜類(玉ねぎ・人参・ごぼう・じゃがいも・大根・れんこん)・かぼちゃ・小豆・りんご・たまご・肉類・魚介類・豆腐・納豆・チーズ・ハチミツ・ほうじ茶・紅茶・赤ワイン など
陰性食品
水分が多くやわらかいもの、南の暖かい地方が産地のものに多い
きゅうり・トマト・なす・ピーマン・レタス・スイカ・メロン・パイナップル・小麦・コーヒー・清涼飲料水・緑茶・ビール・白ワイン など
有効成分ファイトケミカル
生姜には、辛味成分や香り成分を中心とした、約400種類以上のファイトケミカル(薬効成分)があります。
生姜に代表されるファイトケミカルは「ジンゲロール」と「ショウガオール」です。
生の生姜にはジンゲロールが多く含まれます。
ジンゲロールに比べショウガオールは、生の状態だと含有量が少なく、加熱することでジンゲロールの一部がショウガオールに変わります。
加熱しすぎると、効果が弱まるため、100℃を超えない程度の加熱が理想です。
この2つの成分「ジンゲロール」と「ショウガオール」、働きが少しちがいます。
ジンゲロール
- 血流を促進して体を温める
- 頭痛、吐き気を抑える
- 殺菌効果
- 免疫力を高める
ショウガオール
- 体内の脂肪や糖の燃焼を促進して体を温める(ダイエット効果)
- 消化吸収を高める
- 血液をサラサラにする
- 抗酸化作用
- 殺菌効果
- 免疫力を高める
体温低下
現代人は体温が低下しています。
体温が下がると、血液中の白血球の働きが悪くなり、老廃物や菌を処理する力も弱まります。
その結果、病気などから体を守る免疫力が下がります。
1℃のダメージ
体温が1℃下がると、免疫力は30%ダウンします。
寒い冬、風邪をひきやすくなるのも、この免疫力低下によるものです。
肌荒れや疲労も出やすくなります。
体温が1℃下がると、代謝は12%ダウンします。
体の中で、脂肪や糖が燃焼しにくくなり、糖尿病や高血圧、肥満につながります。
人の体は、0.5℃ちがうだけでも影響を受けます。
体温別の症状
36.5〜37.0℃・・・健康な人の体温、免疫力も活性化
36.0℃・・・熱をつくり出そうとし、体が震える
35.5℃・・・この状態が続くと、自律神経失調症、排泄機能低下
35.0℃・・・がん細胞が最も活発になる
34.0℃・・・生命が回復できるかどうか
冷えの原因
体温が下がってしまうには、原因があります。
体を温める前に、冷える状況を減らすことも大切です。
生活習慣を見直すことで、改善されます。
①筋力の低下
歩くことが少なくなったり、運動不足により、筋肉の量が減少します。
筋力量が原因減少すると、基礎代謝も下がり、熱を生み出す量も少なくなります。
体の中では、お尻や太ももなど下半身の筋肉が大きいので、この部分の筋肉を使うことで、体も温まりやすくなります。
②ストレス
ストレスがかかると、血管が収縮し、血流が悪化、体温の低下につながります。
過剰なストレスによる血流悪化は、頭痛や肩こりなど様々な不調を引き起こし、更には生活習慣病のリスクも高めます。
③体を冷やす食品の取りすぎ
糖質オフ、低糖質、高タンパク、などの言葉をよく見かけます。
食品を選ぶとき、たんぱく質、炭水化物、脂質などの栄養価だけで判断することが多いです。
食品には、陽性食品と陰性食品があるように、体を温めるものと冷やすものがあります。
陰性食品ばかり食べていると、体が冷えてしまいます。
生姜がもたらす体への効果
体は、冷えが引き起こす様々なダメージを受けています。
生姜の温め効果によって、改善効果が期待できます。
代謝の改善
体温が1℃下がると、代謝は12%ダウンします。
ということは、体を温め、体温が上がると、代謝も上がります。
代謝がよくなると、体内の脂肪や糖が燃焼され、エネルギーとして使われます。
肥満を防ぎ、血糖値や血圧も安定するので、糖尿病などの生活習慣病も予防できます。
むくみ改善
水分をとることは大切ですが、取りすぎると、体温が下がり、代謝が悪くなります。
余分な水分が体にたまり、むくみにつながります。
生姜の温め効果により、体温が上がり、代謝もよくなることで、体にたまった余分な水分が排出され、手足や顔のむくみもスッキリします。
血流の改善
血流が悪くなると、頭痛や肩こり、手足の冷え、便秘、肌荒れなど、様々な不調が出てきます。
血管には、動脈、静脈、毛細血管があります。
動脈は、酸素や栄養を運び、静脈は、二酸化炭素や老廃物を心臓に送ります。
毛細血管は体中に広がり、動脈と静脈をつなげ、酸素と二酸化炭素、栄養と老廃物の交換を行います。
どの血管も重要な役割をもっていますが、毛細血管は、全身の血管の99%にもなり、内径約0.01mmという細さゆえ、血流が滞りやすいのです。
毛細血管は、20代から老化が始まり、さらに進むとその血管は消滅してしまいます。
体の隅々まで広がる毛細血管が、スムーズに流れなくなることで、酸素や栄養が行き渡らず、頭痛、肩こり、胃腸のトラブル、手足の冷え、肌荒れ、疲労などの症状が出てきます。
生姜で体が温まり、血流がよくなると、原因の分かりにくい体の不調が改善していきます。
生姜の効果を最大限利用
生の生姜にはジンゲロールが多く含まれます。
ジンゲロールに比べショウガオールは、生の状態だと含有量が少なく、加熱することでジンゲロールの一部がショウガオールに変わります。
〈ジンゲロール〉
血流を促進して体を温める
〈ショウガオール〉
体内の脂肪や糖の燃焼を促進して体を温める
ジンゲロールの状態でも、体を温める効果はありますが、加熱してショウガオールになると、より体を温める効果が高くなります。
その「ジンゲロール」と「ショウガオール」、加熱による変化を生かし、生姜の温め効果をより活用する方法です。
100℃にならない程度の加熱が必要です。
蒸すくらいの温度が100℃を超えないくらいの温度になります。
蒸し器がなければ、シリコンスチーマーを使用し、電子レンジで加熱します。
生姜をスライスし、並べ、5分くらい加熱すれば出来上がりです。
その後、乾燥させると、日持ちします。
オーブンを60℃〜80℃に設定し、1時間くらい加熱してもできます。
用途により、スライスのままでも、さらに細かくしてもお使いいただけます。
飲み物やスープ、料理に加えるだけなので、簡単です。
加熱しすぎないように注意してください。
まとめ
体を温めることが、冷えをとるだけでなく、様々な体の不調を改善します。
身近にある食べ物、生姜でぜひお試しください。
効果は2~3時間くらいですので、こまめに取ると良いでしょう。
食べる量の目安は、1日に10〜20gです。
食事の基本は、バランスよく適量を、です。
毎日の食事を楽しみながら、うまく取り入れてみてはいかがでしょうか。