「そば」=「ヘルシー」という、なんとなくのイメージしか持っていなかった私です。
今回「そば」についてご紹介しようと思ったのには、きっかけがあります。
体調が悪くなったとき、その原因を探った結果、小麦粉が体に合わなかったのではないか、という結論にたどり着きました。
それからは小麦粉をなるべく摂取しない食生活になりました。
それほど苦ではないのですが、何か代用できるものがないだろうかと考えてみました。
趣味のお菓子作りにも、小麦粉が使えない・・・
何かないかな・・・そば粉が使えるかも!
そう思い付き、そば粉でシフォンケーキを作ったのが始まりでした。
そんな私が新たに気付いたそばの魅力について、今回お伝えしようと思います!
目次
そばについて
そばの実
そばの実を見たことがある方は、少ないかもしれません。
角張った形をし、胚芽が内部にあるのが特徴です。
米の場合、頭の部分に胚芽があるため、精米すると胚芽は除かれます。
精米の度合によって、玄米→胚芽米→白米 と名前を変えます。
そばの実は米でいうと、玄米に当たります。
胚芽は植物の芽になる部分で、栄養素が豊富に含まれます。
炊く、茹でる、煎るなどして、実を丸ごと食べることができます。
そば粉
そばの実を挽いたものです。
殻の部分も食べられるので、殻ごと粉砕した全粒粉というものもあります。
田舎そばに見られる色の濃いそばには、この殻の一部が含まれています。
そば粉は、そばを打つだけでなく、小麦粉の代用品としてパンやお菓子づくりにも使われます。
麺のそば
「そば」と言われて思い浮かぶものが、もっともポピュラーな麺のそばです。
日本のそばには、つなぎとして小麦粉を混ぜているものも多く、その割合によって十割そば、二八そばなどと呼ばれています。
そばの実の挽き方によっても種類があります。
実の中心部を使う「更科そば」は、白く上品な匂いのそばです。
「田舎そば」は、そばの殻も挽き込まれているため、黒っぽく匂いも強いです。
これは、いわゆる全粒粉に当たり食物繊維が多く、血糖値も上がりにくいです。
海外にも、そばで作られた麺があります。
朝鮮半島由来の冷麺や、中国の高山地域発祥の韃靼そば、イタリアのピッツォッケリというパスタもそば粉を使うのが特徴です。
そばの栄養
たんぱく質
たんぱく質を豊富に含む食品は、肉や魚、たまご、大豆、乳製品などです。
ですが、たんぱく質の量以外に、良質なたんぱく質を数値で表す「アミノ酸スコア」というものがあります。
食事で摂取したたんぱく質は、体内で分解されアミノ酸になります。
アミノ酸は、さらに腸から吸収され、たんぱく質合成の材料になります。
このアミノ酸は20種類あります。
この中で、体内で作り出すことができず、食事から摂取しなければならないものが9種類あり、必須アミノ酸と呼ばれています。
この必須アミノ酸を、バランスよく十分な量含んでいるかという、質を示すものが「アミノ酸スコア」です。
たんぱく質の代表、肉・魚・たまご・大豆は、アミノ酸スコア100です。
穀物であるそばですが、アミノ酸スコアは100です。
精白米は81、小麦粉は48です。
炭水化物の代表とされる穀物ですが、中でもそばは、他と比べてたんぱく質のバランスがいいことがわかります。
食物繊維
そばの実には、白米と比べて約7倍の食物繊維が含まれます。
食物繊維が多いと、糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を防ぎます。
そうすることで、糖尿病の予防につながります。
食べ過ぎなどで血液中に糖が増えると、インスリンが分泌されます。
インスリンは糖を脂肪に変え、蓄積されます。
食物繊維で糖質の吸収率は抑えられるので、肥満防止にもなります。
食物繊維は体内に吸収されず、腸まで運ばれ、腸内環境を整えます。
不溶性食物繊維
便秘改善や大腸がん予防に役立ちます。
水溶性食物繊維
腸内をゆっくり移動するため、腹持ちがよく食べ過ぎを防ぎます。悪玉コレステロールを下げる作用もあります。
レジスタントスターチ
そばの実には、レジスタントスターチというものが含まれます。
「レジスタント」=「消化されない」、「スターチ」=「でんぷん」という意味です。
消化酵素で分解されにくいでんぷん(糖質)で、難消化性でんぷんとも呼ばれます。
これは糖質ですが、食物繊維と同じような働きをします。
そばの実のほか、冷やご飯、冷めた焼き芋、長芋や山芋にも含まれます。
レジスタントプロテイン
消化酵素で分解されにくい、たんぱく質です。
レジスタントスターチ同様、食物繊維と同じような働きをします。
さらにすごいのは、脂肪の吸収を防いでくれることです。
通常、口から入った脂肪は、小腸で胆汁酸と結合し、体内に吸収されます。
ところが、レジスタントプロテインは、脂肪よりも先に胆汁酸と結びつき、脂肪を排除します。
そばの実のほかには、酒粕や大豆にも含まれます。
低GI値
GI値は、食後の血糖値の上がりやすさを示す指標です。
GI値が高いほど血糖値の上昇が速く、低いものほど血糖値の上昇はゆるやかになります。
白米を100とすると、そばは56くらいの値になります。
なぜGI値が高いとよくないのかというと、血糖値が急上昇すると、血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌されます。
インスリンは糖を脂肪に変え、蓄積し、肥満につながります。
血糖値をコントロールする力も弱くなり、糖尿病になりやすくなります。
血液中の糖が血管を傷つけ、動脈硬化の原因にもなります。
ルチン
抗酸化作用のあるポリフェノールの一種、ルチンが、そばには豊富に含まれています。
傷付いた毛細血管を修復するので、血圧を無理に上げなくても、血液が全身に行き渡るようになり、血圧を正常に保てます。
ルチンは、ビタミンCと一緒に摂取すると相乗効果があります。
そばに大根おろしを添えたり、生野菜のサラダにそばの実をトッピングするのもおすすめです。
グルテンフリー
グルテンとは、小麦粉などの穀物に含まれる粘り気のあるたんぱく質です。
パンや麺に弾力を与えます。
そばは、このグルテンを含みません。
グルテンを含まないものを、グルテンフリーといいます。
グルテンの分解酵素を持たない人が、グルテンを摂取すると、アレルギー反応や自己免疫疾患(セリアック病)を発症することもあります。
アレルギーほどの反応はなくても、体の調子が悪くなる場合もあります。
グルテンを含まない、グルテンフリーの食品を望む場合は、小麦粉の代わりにそば粉を使うのもひとつの方法です。
アレルギー
食べ物によってアレルギー反応を起こす方もいらっしゃいます。
加工食品のパッケージには、アレルギー表示があります。
食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかな食品のうち、特に発症者数が多く、症状の重症度が高い食品が、特定原材料7品目とされています。
そばも、この7品目に含まれます。
そばのアレルギーは、少量でも反応し、重篤な症状が出ることもあります。
調理環境に注意すること、そばそのものだけでなく、そば茶や雑穀米、そば粉を使った菓子類なども多いので、気を付けてください。
食べ方
麺のそばを食べる
外食する以外にも、コンビニやスーパーで簡単に購入できます。
大根おろしのほか、ネギや大葉などの薬味、オクラや海藻・山芋などのネバネバ食品を合わせるなど、自分好みにアレンジしやすいのも特徴です。
ただ、麺を茹でるときに、水溶性のビタミンやミネラルが流れ出てしまいます。
ゆで汁をそば湯として、つけ汁で割って飲むのもひとつです。
そば粉を活用する
シフォンケーキの作り方
スーパーでも手に入るそば粉は、小麦粉の代わりに使えるので難しくありません。
お好み焼き、焼き菓子、パンなども作ることができ、そば粉独特のクセも気になりません。
例えばシフォンケーキなら、1時間ほどで出来上がります。
- そば粉85g
- ベーキングパウダー4g
- 卵黄4個分
- 卵白4個分
- 砂糖85g
- 油50g
- 水50g
卵黄、砂糖(半量)を白っぽくなるまで混ぜ、そこに油、水、そば粉、ベーキングパウダーを混ぜ合わせます。
卵白と残りの砂糖でメレンゲを作ります。
砂糖は2〜3回にわけて入れ、角が立つ程度にします。
これらを混ぜ、シフォンケーキ型(18cm)に入れ、180℃に予熱したオーブンで30分焼きます。
焼き上がりは、竹串などで刺し、生地が付いてこなければ大丈夫です。
ガレットの作り方
クレープ状にして具材をトッピングするガレットは、専門店もありますが、ご自宅でも簡単に作れます。
- そば粉150g
- 水350g
- たまご1個
- 塩 少々
- お好みの具材
材料を混ぜ、フライパンに薄く広げ片面もしくは、お好みで両面焼きます。
あとは、具材をトッピングし、四角くなるよう縁を折れば出来上がりです。
具材は、たまごやハム、チーズ、きのこが定番です。
そばの実として取り入れる
栄養を余すことなく取り入れたい方には、そばの実を丸ごと食べることをおすすめします。
そばの実は、炊飯器で炊くか茹でる、フライパンで煎るといういずれかの工程が必要です。
多めに作り、冷凍保存すると便利です。
炊いたり茹でた場合、そのまま食べるのはもちろん、カレーライスや丼物、リゾット、焼飯など白米の代わりとして使えます。
ひき肉に混ぜ、かさ増ししたり、和え物やスープに加えても、味の邪魔をしません。
煎ったものは、サラダのトッピングや揚げ物の衣に使うと、カリカリした触感が楽しめます。
まとめ
栄養、取り入れやすさなど、ほかの食品にはない魅力が発見できましたでしょうか?
日本にはそばの産地も多く、それぞれの産地ごとに特徴があります。
取り寄せられるものもあるので、食べ比べて楽しむこともできます。
年末に、年越しそばを食べるだけではもったいないので、毎日の食生活に少しずつ、「そば」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、食事の基本はバランスよく適量をです。
そばは穀物ですし、特に制限はありませんが、そばの実だけで満腹になるようでは食べ過ぎなので、摂取量を調整してください。