昨今の低糖質ブームもあり、スーパーやドラッグストア、コンビニでは様々なナッツを見かけます。
持ち運べる小分けタイプや、フレーバーを変えて食べやすくしたもの、さらにはドリンクやオイルまでいろいろな種類のものがあります。
甘いものは控えて、間食をナッツに換えた方や、TVで体にいいと紹介されて、手に取った方もいらっしゃると思います。
「なんとなく食べてみたら、美味しかった」というのもいいですが、ナッツが持つ栄養や、美容と健康への効果を知り、上手に取り入れるようにしましょう!
目次
ナッツとは
ナッツは種実類に分類され、硬い皮や殻に覆われた「木の実」のことです。
原産は、雨が少なく、土地もあまり肥えていない地域だったため、乾燥や天災から実を守る必要がありました。
硬い殻のおかげで守られた実には栄養がぎゅっと濃縮されているため、栄養価が高く「天然のスーパーフード」とも言われます。
ナッツの分類
ナッツの種類はたくさんあり、大きく3つに分類されます。
①堅果(外側の殻が硬い果実)
- ヘーゼルナッツ
- マカダミアナッツ
- クリ
②核果(果実の中心に大きな核があり、その核の中にある種子を食べるもの)
- アーモンド
- クルミ
- ピーカンナッツ
- ココナッツ
③種子(種の部分を食べるもの)
- カシューナッツ
- ピスタチオ
- ヒマワリの種
- カボチャの種
- ゴマ
ナッツと間違われやすいピーナッツ
名前に’ナッツ’とつき、知名度も人気もありますが、マメ科の植物なので豆の仲間です。
ナッツの栄養と効果
人間に必要な栄養素の中で大きなものが、炭水化物、脂質、タンパク質の3つです。
そこに加えて、ビタミンとミネラルの働きで代謝を助けたり、細胞を活性化させて健康な身体を維持します。
この炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルは、5大栄養素と呼ばれています。
ナッツには、この5つの栄養素がすべて含まれています。
炭水化物
炭水化物は、体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」にわかれます。
さらに食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、働きも異なります。
水溶性食物繊維
コレステロールをさげる、塩分の排出、血糖値の急上昇を抑える、水分を吸って膨らむ、便秘予防
不溶性食物繊維
胃や腸の有害物質の排出(大腸がん予防)、腸内善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌)を増やす、便秘予防
食物繊維は、植物性の食品にしか存在しません。ナッツには、この食物繊維がたくさん含まれています。
脂質
ナッツには脂肪が多く、高カロリーで太りそう…というイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
もちろん食べ過ぎるとカロリーオーバーですが、この脂肪にも種類があります。
飽和脂肪酸
常温で個体化することが多く、消化されにくいです。
血管内で固まりやすく、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす危険性があります。
中性脂肪、コレステロールの増加につながり、動物性脂肪に多く含まれます。
不飽和脂肪酸
常温では液体です。血栓を防ぎ、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を予防します。
中性脂肪、コレステロールを低下させ、太りにくくします。
植物性脂肪に多く含まれます。
ナッツには、主に不飽和脂肪酸が含まれるため、適量の摂取は身体にいいです。
タンパク質
人の身体の約20%はタンパク質で構成されています。
筋肉や内臓、皮膚や髪、血液などをつくります。
動物性タンパク質
牛・鶏・豚肉、魚介類、卵、牛乳、チーズ
植物性タンパク質
ナッツ、大豆、豆製品
動物由来の食品は、食物繊維などの炭水化物を含まないので、タンパク質の含有量が多いですが、飽和脂肪酸を多く含みます。
植物由来の食品は、食物繊維が多く、不飽和脂肪酸を含みます。
ビタミン・ミネラル
1日に必要な量はわずかですが、不足すると欠乏症を引き起こし、健康な身体を維持できなくなります。
ナッツに含まれる主なビタミン・ミネラルは以下のとおりです。
ビタミンB
糖を分解し、エネルギーにかえ、脂肪が付きにくくなります。
口内炎やニキビ予防などに効果があり、きれいな肌や髪をつくります。
疲労回復、イライラ防止にもなります。
ビタミンE
抗酸化作用があり、体内の活性酸素を抑えることで、シミやシワの予防にもなり、老化を防ぎ若さを保ちます。
ビタミンA
汗腺や皮脂の分泌を正常に行う効果があります。
保湿能力が上がり、乾燥肌を改善します。
粘膜を正常に保つ効果もあるので、肌だけでなく、花粉症や胃腸の健康維持にも役立ちます。
マグネシウム
血圧、血糖値、中性脂肪を下げる働きがあり、サラサラな血液にするためのミネラルのひとつです。カルシウムの働きを助けます。
カルシウム
骨や歯をつくり、イライラを抑え、精神を安定させます。
タンパク質と一緒に摂取することで、カルシウムの吸収率は高くなります。
亜鉛
ビタミンCと協力し、コラーゲンをつくり、肌の生まれ変わりをスムーズにします。
免疫細胞の活性化や、活性酸素の除去にも効果があります。
代表的なナッツ
いろいろなナッツがある中で、じゃあどれを食べようか、と迷ったとき、そのナッツの栄養や美容・健康への効果を知っていると選びやすいと思います。
代表的なナッツについて、その特徴を見てみましょう。
アーモンド
一番の特徴は、ビタミンEを豊富に含むことです。
「若返りのビタミン」とも言われ、強力な抗酸化作用があり、体内の活性酸素(老化)を抑えます。
シミ・しわの予防や美肌づくり、細胞の老化予防に効果的なので、若さを保つには最適です。
アーモンドの脂質が気になる方も多いと思います。
実際100g中、約50%が脂質です。ですが、そのほとんどが不飽和脂肪酸で、血液中のコレステロールや中性脂肪を抑えてくれます。
クルミ
ナッツの中でも、特に多く含まれるのが、オメガ3脂肪酸です。
悪玉コレステロール値・中性脂肪値を下げたり、血管を柔軟に保ちます。
クルミが持つポリフェノールの効果で、動脈硬化や糖尿病の予防、美白にも期待できます。
ミネラル分も豊富に含まれるので、体内の老廃物を排出し、むくみを解消してくれます。
カシューナッツ
ナッツの中では脂質が少なく、骨を丈夫にするビタミンK・銅・マグネシウム・鉄などが多く含まれます。
ビタミンB1や亜鉛も豊富なので、エネルギー代謝に効果があり、疲れにくい体をつくります。
イライラや集中力低下も防ぎます。
食物繊維による整腸効果・デトックス効果も期待できます。
マカダミアナッツ
オレイン酸を多く含み酸化しにくく保湿力も高いので、美容オイルとしても利用され、お肌のシミ・たるみ、老化防止に効果があります。
オレイン酸の次に多く含まれるパルミトレイン酸という脂肪酸が、血管を強くし脳卒中や高血圧・動脈硬化を予防します。
他にもインスリンの分泌を促進し、糖尿病予防にも効果的です。
ピスタチオ
「ナッツの女王」とも呼ばれるピスタチオには、ビタミンA・ビタミンE・ビタミンKが含まれ、抗酸化力が高く、アンチエイジングに効果があります。
ナッツの中では一番カリウムが多いので、体内のナトリウムを調節し余分な物質を排出します。
塩分が多い食事をしたり、水分をたくさん取った時、また長時間座りっぱなしの時などにも良く、むくみ解消に効果的です。
オレイン酸による悪玉コレステロール抑制効果もあり、動脈硬化や心臓病、高血圧などの予防も期待できます。
※ナッツのkcalは日本食品標準成分表2015年版(七訂)より引用しています。
実際にナッツを食べてみよう
食べるタイミング
朝食
朝一番の空腹時に食べると、体内への吸収率が高いので、栄養素を最大限に取り入れるにはベストです。
間食
少量で満腹感が得られ、その後の食事量も減らせます。
美容や健康にもよく、ビタミン・脂質も含まれるので、リラックス効果やエネルギー補給ができます。
食事と一緒に
食事と一緒に食べると、消化・吸収を助ける働きがあります。
中国では、漢方にナッツが使われたり、ヨーロッパでは古くから、肉料理中心の食事での、消化・吸収を助けるために、ナッツを一緒に食べていました。
寝る前
寝ている間に、ナッツの食物繊維が腸を整えてくれます。
1日の目安は、ひとつかみ程度(約20g)です。
おすすめの食べ方
そのまま食べても、カリッと歯ごたえが良くおいしいナッツですが、料理やお菓子に取り入れるのも、飽きずに続けられるコツかもしれません。
- クラッシュしたナッツを、ドレッシングに混ぜ、サラダや豆腐、和え物や肉料理にかけると、アクセントになり、栄養の吸収もよくなります。
- 炒め物にカシューナッツを加えると、見た目も華やかです。
- 揚げ物の衣に砕いたナッツを使うと、さらに香ばしく、カリッと軽い衣になります。
- スムージーに混ぜたり、ドリンクタイプの物は、吸収率もよくお手軽です。
- ナッツのオイルも見かけるようになりました。スープや飲み物に、ティースプーン1杯入れるだけなので、献立にも迷わず摂取できます。
相性
ナッツそのものが栄養豊富でおいしい、というだけでなく、組み合わせることで、さらに効果を発揮することもあります。
コーヒー × ナッツ
コーヒーを飲むと、一時的に元気になりますが、含まれるカフェインによって、ビタミンやミネラルが消費されてしまいます。
そうするとその後、疲労感や不快感が出てきます。
コーヒーを飲むときに、一緒にナッツを食べると、失われたビタミン・ミネラルを補うことができます。
アルコール × ナッツ
ナッツには、ナイアシンというビタミンが含まれます。
アルコールの分解を助け、血行を良くします。
血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きもあるので、お酒を飲むときに一緒に食べると効果的です。
炭水化物 × ナッツ
ナッツには、炭水化物が身体に吸収されるのを抑える働きがあります。
炭水化物を食べると、体内で分解され、ブドウ糖という形になり、腸から吸収されます。
ナッツは、このブドウ糖の吸収を抑えます。
糖の吸収の程度を「GI値」で表します。
血糖値上昇のリスクが、数値でわかるということです。
ナッツ自体GI値が低いのですが、他の食べ物のGI値まで下げることができる、というところがナッツの特徴です。
注意点
アレルギーについて
アレルギーとは、食事した時に食べたタンパク質を、身体が異物と察知し、それを排除しようとして、身体に変化が起こることです。
日本でのナッツアレルギーで最も多いのは、クルミです。
ナッツは種類によって、タンパク質の構成が異なるので、自分に合うかどうかの確認は大切です。
アレルギー症状も人によって異なり、軽い症状だと目や肌のかゆみ、湿疹ですが、重度になると、呼吸ができなくなることもあります。
カロリーについて
ナッツは栄養豊富ですが、脂肪分が多くカロリーも高いです。1日の目安は、20g程度(約20粒)で、食べ過ぎはよくありません。
保存について
ナッツは酸化、湿気、熱に弱いです。密封容器に入れ、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
まとめ
古代から保存食や供物として貴重だったナッツは、その後高級嗜好品となり、今では日常的な健康食品・スーパーフードとして好まれています。
日本ナッツ協会によりますと、7月22日は「ナッツの日」だそうです。
栄養バランスがよく、ミネラルも豊富なナッツ、7月22日だけでなく、一年を通して取り入れたいですね。